役割と重要性を知って正確なバイタルチェックを
バイタルチェックは奥が深い
毎日決まった時間に決まった内容の仕事をしていると、流れ作業のように感じてしまいその重要性を忘れてしまうことがあります。バイタルチェックにおいても日常的に行うが故に、緊張感無く測定してしまっている場合がありますが、これは大変危険です。バイタルチェックには重要な意味があり、その数値ひとつで得ることのできる情報量も多いので、自分はバイタルチェックに慣れているという人も、改めてその重要性と正確な測定方法について考えてみる必要がありそうです。
体温の測定を例に考えてみる
いつもの時間に体温を測ってみると、正常な数値より高い温度であることがわかったとします。発熱している、と判断すると思いますが、この発熱についてもひとつのパターンではないことを理解しているでしょうか。
高熱が持続する、一定のサイクルで高熱が出る、高熱と平熱を繰り返しているなど、一口に発熱と言ってもそのパターンによってその後の診断も異なります。つまり、ただ発熱しているという状態だけでなく、どんなサイクルで発熱しているのかを把握することによって、病気を診断する有効な材料となるのです。
また、初歩的でシンプルな作業だと思っていると、正しい方法で測定することができずにその後の対応を誤ってしまう場合があります。本当は平熱の状態で測定方法を誤り「発熱している」と判断してしまえば、必要のない薬を使うことになってしまう可能性もあり、利用者の身体に余計な負担をかけることにもなりかねません。
体温の測定だけでも、これだけ注意が必要なものだということを肝に銘じておきましょう。
簡単に判断しない
一般的なバイタルの正常値というものは存在しますが、利用者それぞれの状態によって注意しなければならないポイントや適切な対応は異なります。
例えば、健康な人であれば大したことがないと判断するような微熱であっても、免疫不全の人にとっては少しの発熱が命取りとなる場合があります。すぐに抗生剤を投与しなければ敗血症になってしまう可能性もあるので、すぐに医療従事者に相談する必要があります。
このように少しの変化にも重要な兆候が隠れている場合がありますので、正確な測定と個々に応じた対応が求められているのです。血圧を測る時にマンシェットの巻き具合がゆるいだけで測定値は20~30もずれる可能性があります。不整脈の利用者に対して10秒間の脈拍測定を行っても、不整脈出現の有無を確認することはできません。バイタルチェックは生命に関わる重要な仕事なのだという意識を持って、丁寧に行うように心がけるべきです。
更新日:2019.12.05
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役割と重要性を知って正確なバイタルチェックを
バイタルチェックを行う際には正しい測定方法を知っておく必要がありますが、その知識を活かすためにはまずバイタルチェックの重要性についてしっかり理解しておくべきです。目的や意味がわかっていれば、自然と丁寧な測定が行えるはずです。