特に注意すべき入浴時の判断

特に注意すべき入浴時の判断

入浴時の事故は少なくない

入浴は急な温度変化などから高齢者が体調不良を起こしやすいので、注意が必要です。年間2万人近くの人が入浴中に心筋梗塞などの病気で亡くなっているという調査報告もありますので、入浴前のバイタルチェックはしっかりと行わなければなりません。またその際に少しでも異常が認められた場合には、どのような対応をとるべきなのかを知っておく必要があるでしょう。
介護施設内の入浴介助は、複数人の利用者が順番に入浴できるようスケジュールが組まれているので、急な変更があって対応できず他の利用者に影響を及ぼすようなことの無いようにしておきましょう。

基準値と対応方法の共有が大切

事故無くスムーズに入浴介助を行うためのポイントを紹介します。まずは、入浴前に行うバイタルチェックの際に入浴可能かどうか判断するための基準値についてです。当然、高熱があったり苦しそうにしている利用者を入浴させるようなことはどんな施設でもしないとは思いますが、体温が何度以下で脈拍がどのくらいであれば入浴しても良い、という基準はそれぞれの施設によって違いがあります。ここで大切なのは、施設内での基準値を明確にし、全ての職員がそれを共有できているかということです。
この基準値から外れていた場合にどのように対処するのかについても施設によって違いがありますので、こちらについてもしっかりと共有しておく必要があります。例えば一定の時間を置いて改めてバイタルチェックを行い、正常値が確認できれば入浴OKとしたり、入浴は中止して本人の了解を得た上でシャワーにするなど、安全面に十分留意した対応が考えられているはずです。

普段の状態を考慮したスケジュールを組む

入浴前のバイタルチェックの段階で異常が見られ、入浴の順番を変えざるを得ない利用者が複数人いると、全体のスケジュールに影響が出てしまいサービスの質が低下してしまう可能性も考えられます。このようなことを防ぐためにも、利用者それぞれの普段の状態を把握しておくことが必要です。
例えば、午前中は血圧が高くなりがちでも夕方にかけて落ち着いてくる人がいるのならば、あらかじめその人は午前中の入浴スケジュールには組み込まないようにするなどの準備をすることができます。普段からしっかりバイタルを記録しておけば、こういった判断も難しくないはずです。

「入浴許可証」という手もある

利用者の中には、一般的な血圧や脈拍の数値からかけ離れた体質の人もいます。こういった場合に施設内で定められた基準値だけを材料に入浴ができるかの判断を行うことは難しいですし、責任問題にも発展しかねないため、あらかじめ「入浴許可証」を取得しておくといいでしょう。
利用者本人やケアマネージャーに頼み、主治医に書いてもらうようお願いします。一般的なバイタルからかけ離れていたとしても、本人の体質を鑑みて問題ないと判断される値を記入してもらえば、問題なく入浴することができるのです。

更新日:2019.12.03

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