異変を見逃さない「眼」を鍛える

異変を見逃さない「眼」を鍛える

フィジカルサインから異変を察知する

体温や血圧、呼吸などを測定して不調の有無を判断するのがバイタルチェックですが、高齢者を介護するにあたってそれよりも大切なのは、数値を見るよりも先に「いつもと何か違う」と気付けることです。例えば食事をとる速さがいつもと違ったり、悲しい表情をしていたりといったフィジカルサインによって異変に気付く眼を鍛えるように心がけましょう。
例えば、座っている姿勢がいつもと違うなと感じたら、どこか痛むところがないか、具合が悪くないか、まずは本人に尋ねてみます。その後バイタルチェックを行い、気になる数値が確認されたら他の職員と情報を共有し医療従事者の判断を仰ぐようにします。実際に、悲しい表情をしている高齢者の手を握ってみると熱かったので、体温を測定すると熱があった、という事例もあります。このように、具体的な体調不良について本人が説明することができなくても、何らかのサインが発せられています。普段から高齢者の生活を見守りサポートしている介護者ならば、少しの変化にも気付けるはずです。

歩行や皮膚の状態にも注目

上記のように表情や何気ない行動が体調判断の材料となりますが、他にも眼で見てわかるサインがありますので紹介します。
まずは、歩行についてです。歩く速度について観察すると、筋力、バランス、柔軟性といった全身の協調性を総合的に判断することができます。特別な準備は必要ありませんし、日常の中で確認しやすい動作なので、何か作業をしながらでも観察することができるはずです。一般的には、65歳以降はゆっくりと歩行速度が低下していき、男性は80歳以上、女性は75歳以上で日常生活に影響が出始めるようです。
もうひとつは、皮膚の状態についてです。赤ちゃんの肌がやわらかくみずみずしいのに比べて、歳を重ねるごとに大人の肌は変化していきます。高齢者になればさらにしわなども目立ってきますが、乾燥には十分注意しておきましょう。経年変化によるものだけでなく、脱水症状の可能性があります。高齢者はのどの渇きや周りの温度・湿度の変化に対して鈍感になってしまう場合が多く、知らず知らずのうちに脱水症状に陥る場合があるのです。普段よりも肌がかさついていたり口の中が乾いているようであれば、すぐに医療従事者に報告し適切な対応を行う必要があります。

それぞれの病状に合わせることも必要

高齢者が利用する介護施設において、バイタルチェックのタイミングや頻度はそれぞれの施設によって異なります。その中でも特にチェックの頻度を高く定めている利用者は、それだけ細かい観察が必要な状態であるということを理解しておく必要があります。
また、高血圧の症状がある人は入浴前後の注意と観察が必須です。硬くなっている血管にそれ以上の圧力を加えることは致命的な疾患につながる可能性が高いため、最高血圧がおよそ150を超える場合には入浴を見送ることになります。
バイタルチェックを行う際には、細かな変化にも注意すると共に、その人それぞれの状態をあらかじめ知っておく必要があるのです。

更新日:2019.11.27

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