少しの不調が重要なサインかもしれない
「なんとなく」から不調を見抜く
高齢者は少しの不調から重い病気につながる可能性があるため、日々の体調管理が大きな意味を持ちます。しかし毎日何度も細かいチェック項目をこなしていくような体調管理は、する側もされる側も精神的に負担を感じてしまうでしょう。
高齢者は何らかの身体的異常がある場合、「ここが痛い」「ここに違和感がある」など局所的な感覚よりも、なんとなく身体がだるいなど全身症状として現れることが多いため、「いつもとお変わりありませんか?」のような自然な会話の中から体調を探ることも可能です。例えば「お食事は美味しかったですか?」「昨晩はよく眠れましたか?」などといった質問から食欲の有無や睡眠状況を判断し、その結果いつもと違うようであれば原因を探ってみます。
高齢者の生理的な特徴
歳を経ることによって、人間の身体にはさまざまな変化が起こります。身体の中の水分量が減ったり感覚機能が低下することによって、脱水症状になりやすいというのも高齢者の生理的特徴の代表例です。他にも、咀嚼機能が低下することによってなかなか食が進まず低栄養状態になっていたり、運動不足や水分不足からくる便秘の可能性があったりと、高齢者が身体に不快感を持つ理由には日常の暮らしぶりが密接に関わっているものが多いです。だからこそ、「きちんと水分を摂っていますか?」「お通じはありましたか?」などさりげない質問によって不調やその原因を探ることが有効なのです。
ただし認知症の症状がある高齢者の場合には、身体の一部をずっと触っていたり不機嫌になったりという言葉ではない方法で不調のサインを発している場合もありますので、注意して観察する必要があります。また、当然ですが薬を処方されている場合は、きちんと服用しているかどうかも確認しなければなりません。
以上のような特徴を踏まえた上で、元々持っている疾患が悪化している可能性があったり不調の原因が不明な場合は、なるべく早く医療従事者に相談するべきです。
気を付けたい心不全の前兆
身体の機能は歳と共に少しずつ低下していきますが、さまざまな日常的要因から心臓の機能が低下すると、心不全を引き起こす可能性があります。心不全の前兆として、疲れやすかったり、咳が出る、食欲のない状態が続くなどが挙げられますが、判断しやすいのは「むくみ」と「急な体重増加」です。
心臓の機能が低下すると、血液の流れが悪くなります。これによって身体に水分が溜まりやすくなり、主に下半身にむくみの症状が現れます。心臓に原因を持つむくみは、すねや足の甲などのむくみがある部分を指で押さえるとそのままへこんで跡が残るという特徴があります。また、溜まった水分の影響で体重も増加します。
高血圧や運動不足、ストレスも心不全を引き起こす要因となりますので、原因不明のむくみや急な体重増加が見られた場合には日常生活の様子を見直し、早めに対処するようにしましょう。
更新日:2019.12.01
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